土を使わないハイドロカルチャーとは

ハイドロカルチャーのしくみ

 

ハイドロカルチャーの内部はこのようになっています。
一般的な土植物との違いは、鉢皿が無く、底面に水を溜めて管理します。
ハイドロカルチャー専用の植物に土の代わりとなる専用の植え込み材で植え込みます。溜まった水がどのくらいあるか、確認するために水位計という専用の資材を用います。

 

 土に代わる画期的な素材

ハイドロカルチャーはドイツで生まれの栽培方法で、植物は、レカトンと呼ばれる直径約8mm程度の丸い粒で植えられています。これは粘土を粒状にして焼いたもので、見た目はレンガの様な赤茶色の粒です。しかし、よく見ると軽石のように無数の孔が開いていて軽く、この穴の中に、水や空気を含むことができるため、植物は安定した生長ができます。

レカトン室内をきれいに保つためには、その原因となる有機物を除くことが重要ですが、土は有機物の塊です。一般的な自然環境ならば、土のバランスが微生物などにより適切に保たれますが、室内においてはこのバランスが崩れ、デメリットが発生しやすくなります。そのため、室内環境でも適切に管理できる土に代わる栽培方法の確立を進めてきました。

また、私たちは 数十年に渡るハイドロカルチャーの栽培の中で、さらに研究を深め、より根の張りが良く元気に育てる為、2つの素材をブレンドしています。
パフカル
ひとつは、パフカルチップと呼ばれる、ピートモスを原料に発泡固形化した粒状の素材です。通常のハイドロカルチャーだと、鉢の下部と上部では、レカトンの水分保持率の差が大きく、根の生長が下部に集中し、上部にはスペースがあっても、根が伸びてくれません。限りあるスペースを有効に使うため、上下の水分率を極力均等にする為、吸水性の高い、パフカルチップをブレンドしました。
シリカソイルもう一つは、シリカソイルと呼ばれるガラスを粉末化させ焼成した、約1cm程の粒状物です。多孔質構造を持ち、孔に根が入り込むと根が分かれやすく、鉢全体への生長を促します。また主成分であるケイ酸が根から吸収されると、葉のクチクラ層が多く形成されます。これは人間で言うと皮膚にあたるな部分で、クチクラ層が厚くなることで害虫が食べづらくなるという効果が生まれます。
プラネットソイルこれらの3種類をブレンドしたものを、当社では「プラネットソイル」と呼んでいます。空間が限られた鉢の中で、植物の根の量を最大限に確保する。それが植物のより良い幹や葉の生長に繋がります。

 

 

空気をきれいにする効果を最大に


植物の根の量を増やすことは、植物の生長を促すばかりでなく、私たちの暮らす室内空間を浄化してくれる作用も向上します。
観葉植物はただ見るだけではありません、植物が元来持っている能力を開放してあげることで、私たちの暮らす空間はより良いものへと変えられます。

空気浄化 土 レカトン
プラネットソイル
 
植物が空気をきれいにすることは一般的に知られていますが、具体的には、植物の蒸散という働きが関わってきます。
植物は、根から水と共に栄養素等を吸収し、植物全体に運んでいます。植物全体が潤い、栄養素を運び終わると、役目を終えた植物にとって余分な水分は、葉の裏側にある気孔という場所から放出されます。この気孔が開くとき、放出される水分と共に外気を気孔から取り込みます。
取り込まれた外気には、二酸化炭素以外にも様々な物質が含まれており、これらは根に送られ分解されます。そしてまた水と共に運ばれ、運ぶ役割を終えた水分がまた気孔から放出されるというサイクル繰り返します。
この蒸散の働きにより放出される水分は、蒸留水と同じきれいな水分であり、このことから自然の加湿器とも考えられます。
ハイドロカルチャー・プラネットソイルによる蒸散能力は土植えの植物よりも格段に高く、植物の持つ空気浄化機能を最大限に引き上げることができます。

 

土の劣化よる植え替えは不要です

本来の自然であれば、植物が植えられている土には虫や微生物がいます。そしてその虫や微生物はその自然の中で生態系を作っています。例えばミミズは、土を掘り返し、その掘り返した土は、植物の根にとって柔らかく生長しやすい環境になります。

しかし、室内のこれが鉢植えとなると困った問題がおきます。室内でその生態系は維持することはできないのです。ミミズが掘り返さなくなった土は、日が経つごとにどんどん固く変質し、根が張れなくなります。今まで活動していた微生物たちも不活性化し、植物に必要な栄養素はどんどん土から無くなっていくばかりか、不要な雑菌やカビなどの温床になりかねません。

それを防ぎ、植物の健全な成長を維持するためには数年に1度、新鮮な土に植え替えなくてはならないのです。

例えばマンションで、土を買ってきて植え替え作業を行う事は容易ではありません。植替えの作業にはスコップ等の道具が必要で、作業自体も土や泥で汚れてしまいます。

そしてさらに大変なのはその土を処分することです。

土は、ごみとして分類されない為、ほぼ全ての自治体で処分ができません。公園に捨てることも禁じられています。自宅に庭があればまだ良いのですが、マンション暮らしの場合それもできません。その為、専門業者さんに有料で引き取ってもらうしかないのですが、それには土を購入するよりもずっと高い金額がかかってしまう事があるのです。

ところがハイドロカルチャーの場合は、この問題が発生しません。

無機質で粒状の素材であるため、土のように性質が劣化せず根の育成を制限しないのです。植物という自然を不自然な室内に取り込む為に、適切にカスタマイズされているのです。

また、虫がつきにくく、清潔感があるという事も室内では重要なポイントです。

ハイドロカルチャーという仕組みは人工的ですが、室内環境で育てる場合はむしろそれが自然であるとも考えられます。

 

ハイドロカルチャーでも、植え替えが必要な場合があります。

それは、植物が元気に根を伸ばしきって、さらなる成長させる空間が必要な場合です。一回り大きな鉢を用意しますが、それまで利用していた植え込み材は、洗って再利用が可能です。

 

誰でも見てわかりやすい水やり

水位計

鉢には、水位計と呼ばれるプラスチック製の計器がついており、水を入れると、計器の中にある赤い針がゆっくりと上がってきます。ちょうど針が計器の真ん中にある線に達したとき、水やりを終えます。どれだけ水が入っているのか、だれでもわかるので、経験も勘が無くても適切に水の管理ができます。

あげた水は、おおよそ5日から1週間かけて、ゆっくりと吸収され、針は下がっていきます。季節によって多少ちがうので、たまにチェックは必要ですが、およそそのくらいです。視覚的に状況が確認できるためとても安心です。

水位が下がっても、レカトンには多少の水分が含まれていますが、植物は空気に触れる機会が増え、さらに水を求めて伸び、生長しようとします。

ただ、継ぎ足しで水を入れると植物の生長が悪くなり、また、根が水に浸かりっぱなしだと今度は窒息して根腐れという症状が出てしまいます。

水位計を見て水やりですれば問題ありませんが、この点については少し注意が必要です。